スマートコントラクトを実現

仮想通貨としてのイーサリアムの大きな特徴は、通貨を取引する際に契約内容を同時に保存・実行することができる「スマートコントラクト」という機能があることです。従来の紙や電子ファイルを使った契約では、契約書に書かれている内容が改ざんされたり、署名が偽造されたりといった問題が発生する可能性があります。契約内容について争う場合、最終的には裁判や調停で決着をつけることになりますが、当事者双方に大きなコストがかかるのが難点でした。

しかしイーサリアムでは契約内容がネットワーク上のブロックチェーンに保存され、偽造・改ざんが困難となるため、正しい契約内容の管理が容易になるというメリットがあります。この点がビットコインよりもさらに優れた決済手段としてイーサリアムが期待されている大きな理由です。

大企業も続々とイーサリアムに参入

世界的な大企業も続々とイーサリアムを活用したビジネスに参入しています。2015年にはマイクロソフトがイーサリアムと提携しました。マイクロソフトのクラウドサービス「Azure」において、イーサリアムの機能を簡単に利用するためのインターフェイスを提供しています。

2017年2月にはマイクロソフト、JPモルガンチェースなどの大企業で構成される「エンタープライズ・イーサリアム・アライアンス(EEA)」という企業連合が結成されました。イーサリアムを活用した企業間取引の標準仕様策定など、イーサリアムの普及に向けた検討をおこなっています。日本のトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループもEEAへの参加を発表しており、今後さらにイーサリアムの普及が加速しそうです。

イーサリアムクラシックとの関係が不安要素

イーサリアムとは別に「イーサリアムクラシック」という仮想通貨があります。イーサリアムクラシックは、イーサリアムのハッキング事件をきっかけに誕生しました。

2016年、イーサリアムを利用したアプリケーションがハッキングされて50億円相当のイーサリアムが不正に取得されるという事件がありました。その対応策として、イーサリアムの開発チームは「ハードフォーク」という手法で不正取得されたイーサリアムを無効化。しかしこの対応は「特定の管理者をもたない」という仮想通貨のコンセプトには反するものであり、少数ですが反対する人たちもいました。

一部の取引所ではハードフォーク以前のイーサリアムも「イーサリアムクラシック」として取引可能です。イーサリアムとイーサリアムクラシックの対立は、イーサリアム普及の不安要素となっています。